2009年04月16日

耳かきのし過ぎにご用心

ふくいわ耳鼻咽喉科クリニックの特徴のひとつとして、耳の診察時に内視鏡を使用する点が挙げられます。ドイツ・ストルツ社製の硬性内視鏡とキセノン光源からなる中耳内視鏡システムで、太さ2mm程度の極細サイズなので赤ちゃんの鼓膜もしっかり画面で観察できます。鼓膜を表示するモニタは、診察室左右に1台ずつ設置していますが、その理由は「患者様が右を向いても左を向いても自分の鼓膜を画面で見られるように」ということと、「診察する医師(自分)も右耳観察と左耳観察でそれぞれ左右にモニタがあったほうが便利」だからです。ちなみにこの「ダブルモニタ」は腹腔鏡手術でよく使われる方法でそれを参考にしました。
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内視鏡での診療は、従来医師にしか見えていなかった耳の中を患者様ご本人に見てもらうことで、現在の状況把握をしてもらえるという利点がありますし、さらに画像をファイリングすることで前回診察時の所見と現在画像を並べて比較できる利点もあります。

耳や鼻、のどなどの耳鼻咽喉科領域は、医師が直接臓器を目で見て病気を確認・治療することができるのが特徴ですが、逆に医師以外には耳・鼻の中をのぞくことができなくて、診察風景を見られた場合「なんかひとりで狭いところを覗き込んでごそごそやってるな。。。」という印象を与えてしまっているのではないか、と以前から危惧していました。。。。ちょっと考えすぎなのでしょうが。。。
そんな思いもあって、診療に関することはとにかくなんでも情報提供して疾患に関するデータを医師・患者が共有すべきだと考えて、この内視鏡システムを導入しました。

おかげさまで来院された方々にも好評なのですが、実は自分にとってもよかったことがありました。
自身も耳掃除が大好きで、ついつい綿棒とか使いすぎて外耳炎になることがしばしばあったのですが、内視鏡で自分の耳の中を見たら予想以上にダメージがあることに気づいてしまいました。
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左耳の中ですが、底部が赤くなっています。完全に外耳炎です。

いつも見慣れているはずの耳内所見なのに、自身の思わぬリアルな画像にかなりビックリしてしまいました。。。すぐさま耳いじりをやめて治療を行いました。。。。
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そのかいあってすっかりきれいになりました。

そういったわけで、内視鏡システムの導入で得られたことは「耳のいじりすぎは要注意」ということです。。。皆様もお気をつけください。

。。。しかし耳の穴を触ると「神経の働きで気持ちよくなる仕組み」があるので、なかなかやめられないのです。。。
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2009年04月01日

がん治療認定医・資格取得

以前のブログで「がん治療認定医 試験合格」と書かせてもらいました。その後書類審査の結果を待っていたのですが、先日めでたく「がん治療認定医」資格取得の連絡がありました。

がん治療認定医とは、日本がん治療認定医機構が定める資格であり、認定医の定義は以下の通りとなっております。

「認定医は,がん治療の共通基盤となる臨床腫瘍学の知識およびその実践を支える基本的技術に習熟し,医療倫理に基づいたがん治療を実践する優れた医師である。したがって、がん治療認定医の資格認定に関しては,以下の要件を求めるものとする。

* がん治療の全相(初期診断から終末期医療まで)における標準的な医療内容に関して説明責任が果たせる。
* 外科治療,薬物療法,放射線療法など各々の専門領域において,その標準的治療に対し、指導医・専門医との連携のもとに適正医療の継続に協力できる医師と認定するに必要不可欠な知識,医療経験を有する。
* 外科治療,薬物療法,放射線療法など各々の専門領域において,先端医療(臨床開発研究)の内容が理解できる。 」

今回の資格取得にあたって、頭頚部癌以外の全臓器におけるがん治療を臨床セミナーなどで学びました。このことは、専門である頭頚部がん診療のスキルアップに大きく役立つものと考えております。

医師一人のクリニックでどこまでがん治療にかかわることができるのか、と考えたときに、「がんの早期診断」こそが自分の果たすべき役目であると思い、日々の診療にいそしんでいます。ふくいわ耳鼻咽喉科クリニックは新規開院から今日で5ヶ月経過しますが、これからますます診療のレベルアップを続けていきたいと思います。
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2008年07月26日

論文出版(微小血管吻合)

仕事の話です。

舌がん・咽喉頭がんを切除して、自分の体の一部(腕や胸、お腹の組織など)を移植することで、切り取った舌や咽頭を作り直すことを「再建手術」といいます。この時にただ組織を縫い付けるだけではダメで、移植組織の血管と首の血管をつなぐ必要があります。血管の太さは大体1-1.5mmほどで、顕微鏡で見ながら縫合します。これを正式には「微小血管吻合による自家遊離複合組織移植術」といいます(なんだかむずかしくてすいません)。

私はこの手術を専門にしておりこれまで120例あまり経験させて頂きましたが、生着率95%と良好な成績を収めてきました。ただ中には血管が詰まって(血栓形成といいます)、再手術を必要とする場合もあり、これは他施設でも「起こりうる合併症」として問題視されています。そこで、なぜ血管が詰まるのか、どうすれば生着率を向上できるのか、について研究してみました。その成果を論文にまとめたものがこの度「Auris Nasus Larynx」という雑誌に掲載されました。

Venous thrombosis after microvascular free-tissue transfer in head and neck cancer reconstruction.
Tatsuya Fukuiwa et al. Auris Nasus Larynx, Volume 35, Issue 3, September 2008, Pages 390-396.

あしかけ2年の仕事ですが、これでようやく形となりました。論文受諾(「アクセプト」といっています)通知が来たときには感無量でした。。。。いまはホッとしています。
自分の研究成果が、頭頸部癌手術での合併症軽減に寄与することを願いつつ、ご協力頂いた各位に深く感謝いたします。
posted by BB at 12:56| Comment(4) | TrackBack(0) | 臨床研究