ふくいわ耳鼻咽喉科クリニックでは、舌がん・咽喉頭がんに代表される「頭頸部がん」の早期診断を第一の目標に掲げて診療を行っております。そのためにマルチスライスCTや電子内視鏡FICE等の診察機器を開業時から導入しておりました。
もう一つの診療目標に掲げている「アレルギー性鼻炎・花粉症の治療」に関して、これまでは早期診断と薬剤投与による治療を行ってきました。次のステップとして「アレルギー性鼻炎に対する手術療法」を見据えてきたのですが、開業して11ヶ月経過した本日、ついに念願の手術機器がクリニックに納入されました。
これが、ドイツのエルベ社で開発されアムコ社が販売しているアルゴンプラズマ凝固装置・APC300です。
アレルギー性鼻炎に対する手術機器としては炭酸ガスレーザーが有名であり、私自身も勤務医時代に、10年以上前からレーザー手術を行っていました。外来日帰り手術が可能であり、副作用も少なく有効性の高い治療であることは、既に世界中で多くの論文にて報告されております。
アルゴンプラズマ凝固装置はレーザーに変わりうる装置であり、実はこちらも結構以前から使用されている機器です。さらに、レーザーが「点で焼く」のに対して、アルゴンプラズマは「面で焼く」のが特徴です。アルゴンガスを噴出しつつ、電気を与えて放電させることでガスと接する粘膜がいっせいに焼けるのがその理由です。なので焼灼にかかる時間が短くてすみます。
さらにもともと肝臓や食道等の出血を止めるために開発された機器なので止血効果が高いこと、これが「レーザーに比べて出血が少ない」といわれる所以です。
実際に当院でもアルゴンプラズマ凝固装置をメーカーからお借りして、数回の治療に活用させていただきましたが、レーザー手術に慣れている医師であれば非常に使いやすい器械であることがわかりました。さらに鼻手術用内視鏡下に手術を行うことでより細やかな処置を行うことが出来ました。また治療を受けられた患者様から、楽に治療が受けられたこと、治療後に鼻症状が軽快したこと、などのよい感想をお伺いすることが出来ました。
もちろんレーザー同様、治療効果には個人差があり、さらにアレルギーを完全になくせるわけではありません。治療効果持続期間は6ヶ月から2年の間といわれています。ただ効果が薄れても繰り返し治療が可能であることも利点の一つです。
手術費用は片鼻900点、両鼻合わせて1800点(3割負担の患者様ですと自己負担額5400円、ただし検査料・処方料等は別)と診療報酬で規定されている通りです。
ただし、スギ花粉症の方は、レーザー手術・アルゴンプラズマ手術のいずれも、花粉飛散時には治療することが出来ません。なので12月までに治療を済ませておくことが大切と考えられています。
ふくいわ耳鼻咽喉科クリニックでは、アルゴンプラズマ凝固装置導入で、特に来年のスギ花粉症対策ができるように、皆様に情報発信していきたいと思っています。
2009年10月06日
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